礼節ある行動はなぜビジネスで最強の武器になるのか?

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「礼儀の正しさ」こそ最強の生存戦略である

著者名:クリスティーン・ポラス、翻訳:夏目 大

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礼節ある行動はなぜビジネスで最強の武器になるのか?

書評

「礼節のある行動、礼儀正しいことは大事である」と言われたら、「確かにそうかもしれない」「親や学校の授業で習った」という人もいるだろう。しかし、「礼節のある行動がビジネスにおける最強の生存戦略である」と言われたらどうだろうか。「ビジネスにはもっと大事なことのではないか」と思う人もいると思う。
そのような疑問に、著者でビジネススクールの准教授であるクリスティーン・ポラスは、単に道徳上の重要性を主張するのではなく、ビジネスでの有効性を明確に答えている。著者自身の20年以上にわたる調査や各国企業に対するコンサルティング経験、そして他の研究者たちによる研究結果を基に、礼節のある行動のもたらす利益と、無礼な行動のもたらす損失の大きさを示している。
 
とは言え、礼節のある行動を取り続けることは難しいものである。本書ではその原則の行動はとてもシンプルで、子どもの頃に教わったようなことだという。
 
礼節ある行動は、とりわけ企業の経営層や、職場の管理職にとって重要である。彼らは組織の多くの人に影響力を及ぼすからだ。しかし、この本の内容を知るのは、早いほうがいい。自分が経営者や管理職になってから読むと、もっと早いうちに読んでおけばよかったことに気づくだろう。
 
仕事のスキルを高めたい、自分のキャリアを切り拓いていきたいと考える新入社員や若手社員にこそ手に取ってもらいたい本だといえる。

ポイント

  • 無礼がもたらす損失は大きい
  • 礼節は「温かさ」。礼節ある態度につながる、2つの言葉と3つの行動原則
  • 礼節のある人に近づくために無礼から自分を守り、自分の言動を知ろう

エッセンス

この本のテーマは、「礼節ある行動、礼儀正しさは、なぜビジネスで最強の武器になるのか」です。子どもの頃、「礼儀正しくしなさい」と言われたことがあるでしょう。なぜ小さい子に言うようなことが、ビジネスの最強の武器として取り上げられるのでしょうか。
この本の特徴は、それを、単に道徳的な「べき論」ではなく、著者や他の研究者の長年にわたる調査・研究結果も用いて紹介していることにあります。
 
今回ご紹介するエッセンスは、①無礼がもたらす損失、②礼節がもたらす利益と礼節ある行動、③礼節を磨くポイントです。早速本の世界に入っていきましょう。

無礼がもたらす損失は大きい

礼節の話に入る前に、無礼が企業や職場にもたらす損失を紹介しましょう。

著者が、17の業界、800人の管理職や従業員に調査した結果、職場で誰かに無礼な態度を取られている人について、次のようなことがわかりました。
・無礼な態度を気に病み、そのせいで仕事に使うべき時間が奪われている。
・無礼な態度を取る人を避けるために仕事で使うべき時間を奪われている。
・組織への忠誠心が低下している。

また、無礼な扱いを受けると、他人に協力しようとする人は三分の一に減り、他人と何かを分かち合おうとする人は半数以下に減ることもわかりました。

もちろん、無礼な態度は自分にとっても悪影響を及ぼします。医療過誤で訴えられる医師は話し方に特徴がありました。それは、患者を上から押さえつけるような尊大な話し方と声でした。

また、無礼な人と礼節のある人の間では、就職・転職への推薦の得やすさに1.2倍の違いがあるという結果も得られています。

無礼な人、無礼な態度は損をすることがわかっていただけたでしょうか。まずは、無礼な態度を減らしていくことで、自分も職場も良い効果が生まれそうですね。

礼節は「温かさ」。礼節ある態度につながる、2つの言葉3つの行動原則

ここまで無礼のもたらす損失について触れてきました。しかし著者は、無礼でないだけでは、礼節のある人とまではみなされないと述べています。

200以上ある行動特性の中で特に重要なのは、「有能さ」と「温かさ」で、良い印象も悪い印象もこの二つでほぼ決まるそうです。著者は、この「温かさ」が、「礼儀正しくふるまうこと」であると述べています。

礼節のもたらす利益には次のようなことがあります。
まず、他の人から声がかかりやすく、仕事が得やすいことです。調査結果によると、協力を頼む同僚を選ぶときに、「この人と働くと楽しいだろうか」と心の中で問いかける人が多く、「この人は手伝ってもらう仕事に詳しいだろうか」と考える人は少ない。つまり人は、協力相手の有能さよりも温かさをみていると言えます。

また、周囲から礼節のある人は、リーダーにふさわしい人とみられます。無礼だとみられている人より「リーダーになるにふさわしい」と評価される可能性が2倍になる調査結果などがあります。それだけリーダーになる機会も多いということになります。

では、礼節のある人になるには、どのような態度や行動を取ればいいのでしょうか。
著者は、それを2つの言葉と3つの行動原則にまとめています。

2つの言葉とは、「お願いします」と「ありがとう」です。誰かに丁寧に何かを頼み、してもらったことに心からお礼を言うことです。このシンプルな言葉をきちんと発することの重みは計り知れません。

3つの行動原則の1つ目は、笑顔を絶やさないことです。笑顔は、自分だけでなく、周囲の人にも良い影響を与えることがわかっています。

2つ目は、相手の存在を認め、相手を尊重することです。この実践は「相手を知ること」から始めるのが有効です。この重要性に気づいた企業は、従業員が相手を知ることを支援しています。本の中では、社内の初対面の人同士のお茶代を支給する例が紹介されています。

3つ目は、人の話に耳を傾けることです。これは、すべての注意を相手の話に向け、相手の感情の変化にも注意を払いながら会話に参加することを指しています。

ここで紹介した2つの言葉と3つの行動原則は、いずれも子どもの頃から見聞きする内容であり、すでにできている、という人もいるでしょう。しかし、大人になるにつれ教わってきたことを忘れてしまい、礼節からほど遠い場所にいってしまうものです。一方で、子どもの頃から見聞きする内容だということは、いつでも気がついた人から始められるということです。つまり、ビジネスでの知識や経験の有無に関わらず、あなたの武器になるのです。

礼節のある人に近づくために無礼から自分を守り、自分の言動を知ろう

2つの言葉と3つの行動原則。これらは当たり前のことですが、常に実践するのは難しいものです。その原因は、無礼の伝染による悪影響を受けやすいこと、そして自分の行動は、なかなかわからないことの2つです。これらを乗り越え、礼節のある人に近づく方法をみていきましょう。

まず、無礼の伝染から自分を守ることです。無礼な態度に触れた人は、無礼な態度をしがちです。これが無礼の伝染です。無礼から自分を守るのは「成功の自覚」です。自分が生き生きと活動しており、成長を感じていると、無礼な態度を取られても悪影響は受けにくくなります。ただ、著者も仕事を始めたばかりの頃は難しかったそうです。当時は、「悪いのは私にひどい言葉をぶつけた相手であり、自分は悪くない」と思い、乗り切ったと振り返ります。

次に、自分の行動はわからないということです。これは、文字通りの意味に加えて、礼節や無礼は相手が判断することだという意味も込められています。そこでこの本では、周囲の人に自分がどんな行動を取っているか尋ねること、また、日記をつけて、どのようなときに良い言動、悪い言動をしていたかを記録していく方法を勧めています。

最後に

この本は、企業の経営層や管理職層の間でベストセラーになっています。組織の上の人たちが、この本で日頃の行動を見直しているのです。これまで礼節は下の人が目上の人に示すものであり、偉くなったら必要ないと思われていた面もありましたが、状況は変わりました。礼節は一生ものの財産になるのです。
ビジネスで「有能さ」を身につけるには、時間が必要かもしれませんが、「温かさ」は、すぐに実践していくことができます。笑顔で心から「ありがとう」を伝えること、相手を尊重し、全力で話に耳を傾けること。礼節という武器を身につけて、今後のキャリアを良いものにしていきましょう。

礼節ある行動はなぜビジネスで最強の武器になるのか?

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「礼儀の正しさ」こそ最強の生存戦略である

著者名:クリスティーン・ポラス、翻訳:夏目 大

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