「やり抜く力」を伸ばすことは出来るのか?

これからの社会を生き抜くために、絶対に知っておきたい仕事のルール3BOOKS

GRIT

平凡でも一流になれる「やり抜く力」

著者名:リンダ・キャプラン・セイラー、ロビン・コヴァル、翻訳:三木 俊哉

日経BP (2016/11/11)

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「やり抜く力」を伸ばすことは出来るのか?

書評

誰しも、一流と言われる人をみると「才能」があると決めつけてしまいがちです。4年に1度のオリンピックで、水泳選手の競技を目の当たりにして「天性の才能」だと感じてしまうこともあるでしょう。果たして本当に、「才能」が全てを決めてしまうのでしょうか。  
著者は、偉業を達成するには、「才能」よりも「やり抜く力」が重要であることを科学的につきとめました。では、私たちはそんな「やり抜く力」を伸ばすことが出来るのでしょうか。本書では、この「問い」に対して科学的な証拠をもとに、「やり抜く力」は伸ばせると主張しています。更に「やり抜く力」を自分の内側から、そして外側から伸ばす方法を紹介しています。
 
何よりも著者アンジェラ・ダックワースは「やり抜く力」の達人です。著者は、父親から「おまえは天才ではない」と言われながらも、並々ならぬ努力と研究によって成果を出し、マッカーサー賞を受賞します。別名、天才賞。このように、「やり抜く力」を実践して、成果を出してきた著者の本が本書「GRIT」なのです。
努力をしなければ、たとえ才能があっても宝の持ち腐れ。
努力をしなければ、もっと上達するはずのスキルもそこで頭打ち。
あなたも人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につけましょう。

ポイント

  • 「やり抜く力」は伸ばすことが出来る
  • 「やり抜く力」を内側から伸ばすことが出来る
  • 「やり抜く力」を外側から伸ばすことが出来る

エッセンス

この本では、才能よりもやり抜く力が重要だと述べられています。やり抜く力とは、情熱と粘り強さから成り立ちます。本書では、このやり抜く力を伸ばすことが出来るということ、さらに自分の内側から、また外側から伸ばす方法を紹介しています。科学的な証拠や、やり抜く力の鉄人達への膨大なインタビューをもとに分析されており、今日からすぐに実践できる内容になっています。

「やり抜く力」は伸ばすことが出来る

そもそもなぜ、才能よりもやり抜く力が重要なのかを疑問に思うかもしれません。著者は、「才能だけでは成功出来ない」という研究結果からさらに踏み込み、「達成の方程式」を導き出します。つまり、「才能」から「努力」「スキル」、そして「達成」に至るまで、これらがどう結び付くのか。
ここでは数学のように式で考えみましょう。才能×努力=スキルで、スキル×努力=達成という2つの方程式が成り立ちます。「スキル」は「努力」によって培われる。同時に「スキル」は「努力」によってより実用的で役立つものになる。つまり、この両方の式に「努力」が2回登場することからもわかるように、努力は達成に対して重要な役割を果たしています。
そしてこのやり抜く力は、遺伝的な影響をうける一方で、経験による影響も受けます。経験による影響とは、年齢とともに変わっていく自分の性格や環境による影響のことを指します。年齢が高い方がやり抜く力が強くなるというデータをもとに、著者は「歳をとるにつれて人は成熟し、人生の哲学に従って情熱と粘り強さがより強くなっていくのではないか」という分析をします。また、人の性格についての研究結果からは、ほとんどの人は、人生経験を重ねるにつれて、より誠実になり、自信や思いやりが増し、穏やかになることがわかっています。つまり、年齢を重ねることで性格上の変化が起こるうえに、自分が様々な経験をし、乗り越えてきたという実体験からやり抜く力がより強くなっていくのです。やり抜く力は生まれつきのものではなく、後から伸ばしていくことが可能なのです。

「やり抜く力」を内側から伸ばすことが出来る

やり抜く力は伸ばせることがわかりましたが、どうやって伸ばしていけば良いのでしょう。やり抜く力は、「興味」「練習」「目的」「希望」を意識し、自分の内側からやり抜く力を伸ばすことが出来ます。具体的なやり方を紹介していきます。
 
1つめの「興味」について。何に興味があるのか、「これだ」と思うものが見つからない人は、自分自身に簡単な質問をしてみましょう。「私は何をしているときが一番楽しいか」ぼんやりとした方向性が見えてきたら、実験だと思って何でもやってみてください。本当に興味があることが見つかるまでは、ある程度試行錯誤を繰り返すことになるかもしれません。興味があることがわかったら、興味を持ち続けるためには、さらに興味が湧くような機会を自分で積極的につくることも必要になります。自分と同じ興味を持っている仲間を探しましょう。それによって知識や自信が増えて、あなたはどんどん好奇心旺盛になり、さらに情熱をもって興味を深めようとしていきます。
 
2つ目の「練習」について。あなたの周りにひとつのことを長くやっている割に「まあまあ」なレベルの人はいませんか。やり抜く力の鉄人達は、意図的な練習を行い続けます。具体的には、まず高い目標を設定する。しっかりと集中して、努力を惜しまずに高い目標の達成を目指す。改善すべき点がわかった後は、うまく出来るまで何度でも繰り返し練習する。時間の長さよりもどう練習するかが大切です。
 
3つ目の「目的」について。自分がやることが、他の人や社会にとっても重要な意味があると分かれば、深い情熱に結び付いていきます。レンガ職人に「何をしているんですか?」と尋ねると、一人目は「レンガを積んでいるんだよ」と答えました。二人目は「教会をつくっているんだ」と言いました。ただし三人目は「歴史に残る大聖堂をつくっているんだ」と答えます。三人目の答え方をする人は、自分の仕事に「目的」を見出しているため、やり抜く力が強いのです。「目的」の意識を育むためには何をすればいいのしょうか。具体的には、「いま自分のやっている仕事が社会にとってどのように役立つか」を考えてみましょう。
 
4つ目の「希望」について。「人は変われる、成長出来る」と信じている人たちは、チャンスと周囲のサポートに恵まれているものです。そして、「やれば出来る」と信じて一生懸命努力し、自分の能力をもっと伸ばしていきます。著者は、こういった考え方を成長思考と呼んでいます。成長思考の人は、困難なことを楽観的に受け止められるようになり、そのおかげでより粘り強くなれます。こうなるためには、まず知能や才能についての考え方を改めることです。その上で、楽観的に考える練習をすることが重要です。

「やり抜く力」を外側から伸ばすことが出来る

やり抜く力は、自分の外側からも伸ばすことも出来ます。あなたが、大きく変わる最も確実な条件は、周囲の人にやり抜く力を伸ばしてもらうことです。例えば、親、コーチ、教師、上司、友人等、周りの人々との出会いが、あなたの情熱のスイッチを入れ成功をもたらしてくれます。
 
やり抜く力の鉄人達は、必ず人生のなかで、自分等を導き、目標を高く持って頑張るように励ます誰かに出会ってきました。自信と支援を与えて、支えてくれる人との出会いが成功をもたらします。
また、一般的に「人は自分の性格に適した状況に引き寄せられ、その結果、さらにその特徴が強化される」という研究結果があります。人格形成の対応原則と呼ばれ、「もがきながらも努力を続けることが進歩につながり、それによって自信が生まれ、もっと大変なことにも挑戦できるようになる」好循環をうみだす場合もあります。あなたの特徴や振る舞い方が今後のあなたの環境を左右することになるのです。
さらに、あなたのやり抜く力を強化したいときは、やり抜く力の強いチームを見つけ、その一員になることです。本書では「偉大な競泳選手になるには、偉大なチームに入るしかない」というエピソードが紹介されています。「毎朝4時に起きて水泳の練習に行くなんて、信じられない。よほど非凡な人間にしかできないはずだと思っていたんです。でもそうじゃなかった。周りの誰もが4時起きして練習に行くような環境にいたら、自分だって自然とそうなる。」集団に溶け込もう、とする人間の欲求は非常に強力なものなのです。周りの人の価値観があなたの信念に変わり、周囲の人の常識が、あなたの常識になっていきます。
 
やり抜く力を伸ばすにも、自分の内側から独力で頑張る大変な方法と、やり抜く力の強い人達に囲まれ、自分も自然とそうなるようにするラクな方法があるのです。

最後に

最後にこの本のポイントをおさらいします。
やり抜く力を伸ばすことは出来るのかという問いに対しては、やり抜く力は伸ばすことが出来ることを紹介しました。更にやり抜く力は、「興味」「練習」「目的」「希望」の4つのステップによって、自分の内側から伸ばすことが出来るということ。また、周囲の力を借りて自分の外側から伸ばすことが出来るということを紹介しました。
 
今日からは、「何をしているときが一番楽しいか」「いま自分のやっている仕事が社会にとってどのように役立つか」と自分の「興味」「目的」を掘り下げてみましょう。辛い時にも、自分の情熱のありかを意識することで、頑張り抜くことができるでしょう。
この本の魅力は、人生をマラソンたとえ、幸福感を失わずに走り続けていくためにもやり抜く力が重要だと述べている点です。あなたも一歩を踏み出しましょう。

「やり抜く力」を伸ばすことは出来るのか?

GRIT

平凡でも一流になれる「やり抜く力」

著者名:リンダ・キャプラン・セイラー、ロビン・コヴァル、翻訳:三木 俊哉

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