どうすればさまざまな悩みに打ち勝つことができるか?

社会人1年目に知っておきたい、心に関する3BOOKS

嫌われる勇気

嫌われる勇気

自己啓発の源流「アドラー」の教え

著者:岸見一郎 古賀史健

ダイヤモンド社; 1版(2013/12/12)

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どうすればさまざまな悩みに打ち勝つことができるか?

書評

心理学の三巨頭の一人と言われるアドラー。本書には、アドラー心理学を用いて「人はどうすれば幸せに生きられるか」という壮大なテーマに対し、シンプルな答えが書かれています。内容は、いわゆる一般のビジネス書とは異なり、哲人と青年という二人の登場人物の対話形式で書かれています。だから、あたかも自分の悩みを解決してくれるかのような感覚にもなり、すんなり頭に入ってきます。
 
人の幸せを阻害するものとして、“悩み”があります。今回のエッセンスでは、悩みとは一体何なのか、そしてその悩みに打ち勝つためにはどうしたらいいのか、ということをご紹介します。ビジネスパーソンとして社会に出て、上司や同僚、顧客や株主など人間関係は多様になり、悩みもこれまでになかったものが増えます。そんな時にアドラー心理学の考え方は悩みを少なく、そして考え方をシンプルなものにしてくれます。
心の負担を減らし、どうすれば幸せに生きられるか。そんな心の羅針盤になるのが本書です。

ポイント

  • すべての悩みは対人関係の悩みである
  • 対人関係の悩みである劣等感や承認欲求について気をつけたいこと
  • 悩みを解決するには“課題の分離”が必要だ

エッセンス

本書は哲人と青年という二人の登場人物の対話を通じて、「人はどうすれば幸せに生きられるか」という問いに関するアドラー心理学における考え方を説明しています。ここでは、その中でも「どうすればさまざまな悩みに打ち勝つことができるか」という問いにフォーカスして説明していきます。

すべての悩みは対人関係の悩みである

まず、そもそも“悩み”とは何なのか。その問いに対してアドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と断言しています。もし、この世界から対人関係がなくなれば、あるいは他者がいなくなれば、あらゆる悩みが消え去ります。さらに、個人だけで完結する内面の悩みなど初めからこの世に存在しないとも述べています。
 
人は誰しも孤独を感じる時があります。それは自分自身がひとりであるから感じるのではなく、他者や共同体から阻害されていると感じた時に感じます。つまりわれわれは、孤独を感じるのにすら、他者を必要とするのです。
他者がいることによって起こる競争や比較、そして孤独といった対人関係がもたらす概念が人間に悩みを植えつけているのです。

対人関係の悩みである劣等感や承認欲求について気をつけたいこと

すべての悩みは対人関係の悩みと断言するアドラー心理学において、対人関係を良くすることができれば悩みは解消されます。では、対人関係における悩みとは何なのでしょうか。本書では対人関係の悩みを引き起こす原因として “劣等感”と“承認欲求”の話を取り上げています。その二つの原因が引きを越す悩みについて気をつけたいことを解説します。
 
まず、劣等感が引き起こす悩みについて解説します。
「我々を苦しめる劣等感は『客観的な事実』ではなく『主観的な解釈』である」と本書には書いてあります。これは一体どういうことでしょうか。
 
例えば、あなたが男性の私に会った時、第一印象が「小柄だな」と感じたとします。実際に私の身長は155センチです。私が自分の身長について、どう考えているのか想像してみてください。「あと10センチあれば何か変わるんじゃないか、もっと楽しい人生が待っているんじゃないか」、そう思うかも知れません。一方で「190センチくらいの大柄で屈強な男性に比べて、相手に警戒されない能力がある」と思うこともできます。
 
ここで大切なのは「身長155センチ」が「劣っている」のではなく、それについて私自身がどのような意味付けをし、どのような価値を与えるかです。「身長155センチ」は単なる客観的な事実でしかありません。それを劣っていると感じさせるのは私たちの「主観的な解釈」なのです。
 
次に、承認欲求が引き起こす悩みについて解説します。
アドラー心理学では人間の普遍的な欲求である承認欲求を根本から否定しています。どうして否定するのでしょうか。
例えば、あなたは人がたくさんいる教室の中に落ちていたゴミを拾ったとします。この時に「誰かに褒められる」パターンと「誰にも褒められない」パターンを想像してみてください。まず、なぜゴミを拾うのかについて考えてみましょう。その理由は教室が綺麗になった方が過ごしやすいからです。
 
一つ目のパターンである「誰かに褒められる」場合、単純に嬉しいですよね。ゴミを拾った行為が他の誰かに認められ、賞賛される。いわゆる承認欲求が満たされたことになります。二つ目のパターンの「誰にも褒められない」場合、あなたはどんな風に思うでしょうか。何だか悲しく思う人もいるかもしれません。良いことをしたのに誰からも感謝をされない。無視とまでは言わないですが、気付いてもらえないのはなんだか切ないですよね。
問題は、あなたはそれでも毎日ゴミを拾い続けることができるでしょうか、ということです。誰にも褒めてもらえないとゴミを拾うことをやめる人も出てくるでしょう。これが承認欲求の危うさです。ゴミを拾うのは「教室が綺麗になった方が過ごしやすいから」であり、決して誰かに褒められたいからではなかったはずです。それなのに褒められない、承認されないからゴミを拾うことをやめてしまう。現在の賞罰教育のせいでもあるのですが、人は承認欲求が満たされないと適切な行動がとれなくなるという危険性があります。
 
「劣等感」が引き起こす悩みについて気をつけたいポイントは、冒頭に述べたように、それは客観的な事実によるものではなく、主観的な解釈によるものだということです。つまり解釈次第で劣等感そのものがどうにでもなるということです。
もう一つの「承認欲求」が引き起こす悩みについては、その存在自体を否定することが大事です。人がどう思うかより、自分がどうしたいかを優先し行動することの大切さをアドラーは教えてくれます。

悩みを解決するには“課題の分離”が必要だ

アドラーは他者の課題に土足で踏み込むことが対人関係の悩みに繋がる原因だと述べ、自分の課題と他者の課題を分離し、他者の課題は切り捨てることを処方箋としてあげています。
人は他者からの承認を求めがちです。「他人からどう思われたいか」をよく考えてしまいます。だから、本来は他者の課題だったとしても自分の課題だと思い込んでしまうのです。たとえば「自分の顔を他者がどう思っているか」は他者の課題です。自分の顔の話だからどうしても自分の課題と考えてしまいますが、他者がどう考えるかは他者の課題なのです。だから気にしてはいけないのです。もし気にしたいのであれば、「自分の顔をどうしたいか」を機にするべきです。こう言った考え方によって、世界はかなりシンプルになり、悩みが少なくなっていきます。
 
アドラーは自分の課題は自分にしか解決できないとも言っています。言い換えると、他者の課題は他者本人にしか解決できないのです。それではあまりにも無力だと感じる方もいるかもしれません。本書ではある国のことわざを紹介してくれます。「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませることはできない」と。自分を変えることができるのは、自分しかいない。同様に他者を変えることができるのは他者本人だけなのです。これらが課題の分離の考え方です。

最後に

このエッセンスでは、人は「どうすればさまざまな悩みに打ち勝つことができるか? 」という問いに対する答えを、アドラー心理学の考え方を用いて回答しました。まず、すべての悩みは対人関係の悩みであると断言しました。そして対人関係の悩みとなる劣等感や承認欲求について、どう考えれば良いかを解説しました。劣等感は解釈次第でどうにでもなる、承認欲求は否定せよというのが答えです。そして最後に、悩みに打ち勝つためには課題の分離が重要だと述べました。解決しない他人の課題を考えるのをやめて、自分の課題に向き合い、自分の人生に生きよ、というのが本書の答えであり、アドラー心理学の考えです。
ぜひ、これから悩みにぶつかった時には「それは誰の課題なんだ」と一瞬でいいので立ち止まって考えてみてください。

どうすればさまざまな悩みに打ち勝つことができるか?

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